2012年2月20日 (月)

瀬尾まいこ「戸村飯店青春100連発」★★★★☆

大阪の戸村飯店の息子、ヘイスケとコウスケ兄弟の成長物語。二人の、ライバル意識を持ちながら、お互いに頼りあう、複雑で微妙な距離感の描き方が絶妙。単なる青春物語をここまで昇華させて、性格が違う2人の成長をみごとに描ききったのはみごととしかいいようがない。瀬尾まいこの力量がを納得させられる作品。終わり方も気持ちよかった。タイトルの100連発というのは意味があるの?要一考だと思うがね。

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原宏一「東京ポロロッカ」★★★★

アマゾンで起こる大逆流「ポロロッカ」が多摩川で起こるという噂が流れ、それに翻弄される人々を描く連作短編集。右往左往する人々もいれば、恋人や家族の絆を再確認する人々もいる。人の弱さも、愛もさらけだして、それでもなお前向きに描くところが原宏一らしいところ。所詮、情報はきっかけでしかないことを私たちは肝に銘じておこう。3.11につなげようとする意味不明の意図があからさまにみえるのだが、果たしてどうだろう。周りと同じように絆、絆とさけんでいれば免罪符をもらったように思い込む日本人の悪い癖が出てきたんじゃないの。

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2012年2月19日 (日)

荻原規子「RDG4 世界遺産の少女」★★★☆

しかし、4作目になっても相変わらず主人公は面倒くさい性格だね。できればこんな女性とはつきあいたくないよな。何か起こると思って読んでできたが、特に面白いというわけでもなし、行ったりきたりで話がなかなか進まずに惰性で読んでいる感じだけど、今回は恋愛要素が強い。文化祭を控えた、嵐の前の静けさ。次の巻でいよいよ話が大きく進みそうだ。期待していいかな。

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はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ6 ぼくの家へおいで」★★★☆

シリーズ6作目。創也の家に行くことになった内人。そこで、人工知能を使ったセキュリティシステムと戦うことに。内人のサバイバル能力にスポットを当てていて、創也の存在感が薄い。漫画が挿入されていたり、おまけがついたりと、いろいろアイデアを盛り込んでいるが、そろそろマンネリ化してきた感じかな。

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武内涼「忍びの森」★★★☆

「戦都の陰陽師」の前に書かれた、こちらがデビュー作。やはり「戦都~」に比べると稚拙。圧倒的な織田軍勢に復讐を期し、紀州へ敗走する伊賀忍者たちが古びた寺から出られないまま、妖怪と戦う伝奇もの。忍者VS妖怪という手もあったのかと、意外性には拍手だけど、植物や自然のディテールを書き込みすぎて、流れが途切れる。うざったい。そのうえ、織田信長から逃げる途中で妖怪と戦うのか、必然性がまったくなくて、わけわかんない。サービス精神旺盛なのも問題なんだよな。

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2012年2月18日 (土)

横関大「チェインギャングは忘れない」★★★★

護送車から脱走した若者が、女性トッラクドライバーに助けられたことから始まるミステリー。テンポがいいし、流れもスムーズ。読後感もさわやか。ただし、最初からミスリードしているのは読む側にも明らかで、それをひきずったまま読み進めないといけないので、つらい。途中でわかってきたが、こういう設定に意味があったのかどうか不明。だまされ感やご都合主義があるにしても、気持ちよく読み終えたので、まあいいでしょう。

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森田季節「エトランゼのすべて」★★★☆

また、京大生の青春ものかよ。万城目のように進化するなら、いいなと思うけど、森見直系の大学生活小説。このままなら京大生の悪いイメージができちゃうよ。私小説のようでもあり、本当に京大生って、こんな生活を送っているのか?まさにモラトリアムと自立まっしぐらのような内容。こんな決着をするとは想像ももしていなかった。面白かったかと聞かれると、微妙な返事しかできないな。

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香納諒一「心に雹の降りしきる」★★★★☆

善人になるには自意識が強すぎる。悪人になるにはやさしすぎる。どちらにもなりきれない等身大の警官が、7年前の少女失踪事件を追う。最後まで主人公には魅力を感じなかったが、ストーリーの展開はうまい。親子の絆がモチーフの底辺にある。失踪した少女とその父親、夫のDVから逃げている母子。また主人公がことあるごとに、父親や母親のことをフラッシュバックさせていく。主人公の現在がすべてそこに収斂していくように作者は意図しているようだが、世界を狭くしているようで、失敗かな。

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