2015年6月24日 (水)

月村了衞「土漠の花」★★★★

ソマリアで墜落したヘリの捜索救助活動に従事した陸上自衛隊12人が、石油の利権を巡る部族間の争いに巻き込まれ、想像を絶する自然の猛威の中で、国際テロリストとの壮絶な戦闘を繰り広げる軍事小説。アッという間の一気読み。自衛隊の海外派遣など、純粋にエンターテイメントとして楽しめないのが辛い。そのうえ、主人公の個性がいちばん薄くて、ニュートラルなのが気になった。物語の展開がしやすかったからか。逆にいえば、国際社会の中の日本人を象徴しているとも言えなくもないが。

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2015年4月 8日 (水)

堂場瞬一「埋れた牙」★★★

吉祥寺を舞台にした刑事もの。捜査一課から吉祥寺の武蔵野中央署に異動した主人公が、新人女性刑事の面倒を見ながら、女子大生行方不明事件を追いかける物語。テンポが遅いし、地味だし、登場人物にも取り立てて魅力を感じなかった。最後に急展開するものの、あっけなく終わって、事件そのものの真相が消化不良気味。作者の狙いが見えてこなかった。

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2015年4月 3日 (金)

柴田よしき「風のベーコンサンド」★★★★

こちらも久々の新作。作者にはばんざい屋シリーズがあるが、その系統につながるお店系のお話。こちらは洋風の料理が出てくるが、どれも美味しそう。モラハラの夫と別居中の奈緒が高原でカフェを開き、そこで出会う人々とのふれあいを描く。この作者は男女の機微を描くと、意外とディープになりがちだが、今回は、そこまで行かず、ブレーキをかけていたので助かった。ただ、全体としてはいまいち魅力不足かなあ。

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2015年3月20日 (金)

辻村深月「家族シアター」★★★★☆

嫌なら、夫婦であれば離婚すればいい。でも兄弟や親子はそうはいかない。生まれながらにして家族としてしか生きられない人間関係の複雑さをテーマにした7つの短編集。一緒に暮らすと、どうしても、面倒くさい、うざったい、複雑な感情を抱きながらも、その実愛おしい。揺れ動く感情がうまく表現されているのはさすが辻村ワールド。最後はほっこりさせる結末で救われる。本当は、人間はどうしようもなく不器用なんだ。

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小野不由美「かるかや怪異譚」★★★★

久々の新作。日本の家屋にまつわるホラー集。ぞくっとして、少し哀れで、作者の本領発揮といったところ。あちら側をこちら側で何も出来ないまま怖がるというのではなく、営繕屋を介在させることによって、あちら側をこちら側の現実につなぎとめ、現実的な解決をしていくというところが新鮮な視点。営繕かるかやをもう少し突っ込んでほしかったけど、シリーズ化されるようなので、今後に期待しよう。

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2015年2月11日 (水)

佐伯瑠伽「環八イレギュラーズ」★★★★☆

久々に読み応えのあった一冊。宇宙から地球に逃げ込んだ犯罪者と彼を追いかける刑事。その追跡劇に巻き込まれた高校生。SFの古典「二十億の針」(高校時代にのめり込んだ)+現代ネット社会+高校という図式。設定が複雑で、最初は時間がかかったが、後は小気味好いテンポで一気読み。三人三様のキャラが際立って面白い。障害者の心理がしっかり描かれているのもいい。主人公たち以外にも面白そうなキャラが登場するが、ほとんど活躍しないのが惜しい。続編の伏線か。

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2015年1月11日 (日)

佐藤多佳子「シロガラス1 パワーストーン」★★★☆

ファンタジーという話だけど、最後の最後に大事件が起きるまで、延々と小学生6人の交遊関係が描かれる。登場人物紹介のプロローグの役目を果たしているが、それに1冊分費やす必要があったかな。構成上こうなったというのは本末転倒でしょう。6人もいるとどうしてもキャラにムラが出てくるのは仕方がないか。次を読まないと、語りようがない。

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瀬那和章「雪には雪のなりたい白さがある」★★★★

公園を舞台にした4つの短編集。「どうしようもできない」自分を抱え込んだ主人公たちが、自分を誤魔化していることに気付き、ありのままの自分を受け入れることで、新しい一歩を踏み出す物語。切なくで感傷的で、かなり暗い話だか、文体があっさりしているせいか、後味は悪くない。タイトルがすごく気に入っている。

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